私が見ている世界には、私だけがいない。 家族、友人、知らない人、ビル、家、電柱にスーパー、画面に映るスターたち、親指と人差し指、木々と草花、空に太陽、夜に光る星月、薄雲、どこへか向かう飛行機、電車、車、道路、プランター、 私の目には世界が映るが、私だけが映らない。 私だけがいつまでたっても概念で、影のようで、でも強烈に存在しているし、世界を物指すのは私自身であるのに。 不均衡。 極彩色のパッチワークにぽっかり空いた漆黒の穴。 その穴の中で私は挽肉を買い、おからを入れてこね、ハンバーグを焼いた。 少しパサパサ。大根おろしで作ったソースをかける。 美味しい。 美味しいけれど穴なのである。 味はするのに、姿は見えないままなのだ かえで
小林楓(シンガーソングライター)の日常に関するなんでもない話を書くところです。たまに大事なことも書きます。