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3月22日:トロントの思い出(3)

「Canadiana Backpacker's Inn」。
ダウンタウンのメインストリートの中のひとつであるQueen Street(東西に走る道)とSpadina Avenue(南北)の交差点からほど近いホステルから、私のトロント生活は始まりました。

私の部屋は二段ベッドがふたつある、女性4人の共同部屋。一番乗りだったので、入ってすぐ右にある方の一段目に自分の荷物を、ベッドの下にスーツケースを置きました。

ホステルを選んだ理由はもちろん費用を抑えたかったこと、そしてそれ以上に期待していたのはほかの宿泊客とのコミュニケーションでした。
だから1人部屋じゃなく共同部屋を予約したし、宿泊客が好きに過ごせるダイニングでいろんな国からやってきた人と話してみたいと思っていた。週末にはバーイベントがあるみたいだから、そこにも参加しよう!と意気込んでいました。

でも、思い通りにはいかなかった。
まだ誰もいない4人部屋でひとりになった私を襲ったのは、強烈なホームシックでした。

「知らない国にひとりだ」
「知ってる人も誰もいない」
「この先どうなるんだろう」
「帰りたい」
「今すぐ帰りたい!!」

電気もつけず薄暗いベッドの上、日本から持ってきたパソコンをWi-Fiに繋いで、ひたすら続けるネットサーフィン。
mixiかfacebookか、Youtubeで日本のTVの動画を見てたのか…。
とにかく不安で、心細くて。
どうしてこんな大それたことをしてしまったんだろう?知り合いもいない、仕事のあてもない、お金だってそんなに持ってないのに、ひとりで外国へ来るなんて?
知らない街の知らない夜、他人みたいなベッドの上で過ごす夜は本当に暗かった。
こんなことやめて帰ってしまおうか。
初日の夜にして、本気でそう思っていました。
辛かったなぁ。。


いつの間にか眠っていつの間にか暗闇に光が挿して、ひとりぼっちだった4人部屋に3人の宿泊客がやってきました。

そのうち2人はどこかの国から遊びに来たイケイケの美人。「クラブ行ってくる〜♡」と、バッチリメイクとセクシーなドレスで出掛けていきました。

もう1人は韓国から旅してきた少し年上の女性でした。
彼女とは少しだけ一緒にトロント観光をしたな。細身で、髪がきれいで、大きな黒いバックパックと薄いブルーのキャップをかぶってた。たぶん写真が残っています。

彼女たちと入れ替わりでやってきたのは、メキシコ人のお姉ちゃん。
この人もトロントで生活をするためにやってきた人で、一緒にご飯を食べたり、洗濯をしたり。お互いの前で母国にいる家族に電話をしてみる、っていう遊びもしました。私が「スペイン語は言葉が踊ってるみたい」と言うと、「日本語は響きがかわいい」と言う彼女。
それぞれが住む家を見つけてホステルを出た後も、一度だけ食事をしました。

あの暗くて苦しいホームシックから少しずつ抜け出すことができたのは、やっぱり人と出会って、その人たちが私を構ってくれたからだと思います。
ダイニングにひとりでいても、誰かが話しかけてくれたしね。
バーイベントでいろんな国から来た人たちと話す!という夢も、その後叶えることができました。
いつも誰かが私を引っ張り上げてくれてた。


そしてこの後このホステルで、とっても嬉しい出会いと巡りあうことになります。


かえで
(4)へ続く


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